2013年04月28日

教育に優れた住宅団地 桑名市大山田地区

三重県桑名市の西方に位置する大山田地区は山を切り崩して作られた約5㎢の広さを誇り、約3万人の人が生活する市内有数の住宅団地である。岐阜県、滋賀県、愛知県それぞれの県に行きやすい位置にあり、バスで30~40分程や電車で20~30分程で名古屋に行けるので、ベッドタウンとして栄えている。団地内に電車が通っていないので、バスや自動車などが主な移動手段である。ただ、坂道が多く、自転車で移動するのはしんどいので、少しの距離ならば歩いて移動しようとする人が多くみられる。

立命館大学の廣田修さんは住宅地の生活環境を研究した卒業論文で、「大山田団地は、伝統が少なく、住民の手によって地域の個性を育む活動がしにくい住宅団地の典型的なパターンである」と述べている。しかし、大山田団地は、その欠点をカバーするために教育の分野に力を注いでいるのである。

大山田地区の中には多くの教育施設がある。小中学校は合わせて8校もある。その中に、筆者の通っていた陵成中学校がある。真面目な生徒が多く、三重県立公立中学校の中で1,2位を争うほど学力が高い。ほとんどの生徒が塾に通っており、中には塾の掛け持ちをする生徒もいる。そして、学年の半数以上は、進学校に進学する。そして、一定期間の間は制服であるブレザーの代わりに私服を着て学校生活を送ることができる「AIP」という制度があり、自主性などの自らのことを考える力を高めることができる。社会にでてから生かせるような経験を中学生のうちに体験できるのである。

教育に優れた住宅団地 桑名市大山田地区
陵成中学校の校舎とグラウンド

優れているのは教育施設だけではない。消防署、地区センターなどの公共施設も数多く存在し、生活していくのに困ることはほとんどない。多目的ホールや会議室をもつコミュニティプラザは、発表会や講演などの交流の場として使用されている。そして、文化の日にはコミュニティプラザ周辺でグリーンフェスタという祭りが開催されており、バザーや地元の小中学生によるパレードなどが行われ、地元の人々は楽しみにしている。

教育に優れた住宅団地 桑名市大山田地区
近隣住民の安全を守る消防署 大山田分署

また、400mトラックやテニスコートを備え付けている総合運動公園などの運動施設もあり、運動する場所に困ることもない。そのため、運動に対する意識が高く、ジョギングをしている人をよく見かける。野球、サッカー、バスケなどのスポーツ少年団やスイミングスクールなどが数多くあり、小中学生による運動も盛んである。文武両道ができている学生が多いのもこの地域の特徴である。

大山田地区は元々、山だったので自然が豊富で、川や池などもあり、いつでも自然と触れ合うことができる。公園も数多く存在し、夕方になると子供たちが元気よく遊んでいる姿をよく見かける。しかし、現在も住宅地を拡大させるために山を切り崩し続けており、自然の減少が問題となっている。地域住民は一体となってこの問題を解決しようと取り組んでいる。こうした地域情勢が多くのひとに理解され、市内全体では人口が減っているのに対し、大山田団地の人口は増え続けている。

教育に優れた住宅団地 桑名市大山田地区
草がたくさん生えて、荒れている大山田川

よって、大山田団地は、様々な施設がバランスよく配置されており、人が自己形成しながら成長していくのに適した団地であると考えられる。


より大きな地図で 森林から住宅地へ変わる大山田団地 を表示

土地利用の変遷について

現在の大山田団地の大部分は江戸時代に大山田新田と呼ばれていた。その大部分は森林であり、桑名藩の藩有林となっていた。その中につくられていた溜池は、現在も大山田第3公園内に残されている。明治時代になって、国有林となったが、何も開発されず、そのまま残っていた。昭和30年代になると、大規模な住宅開発が計画され、国有林が払い下げられた。昭和48年に民有地も含めて約200ヘクタールが開発された。住民の入居開始は昭和54年で、それと同時に、団地初の小学校として、大山田東小学校がつくられた。昭和57年には陵成中学校がつくられた。その後、住民は増加し続けて、市内有数の規模を誇る団地になった。旧市域の人口は減っているが、大山田団地の人口は増えている。現在は小学校6校、中学校2校まで学校も増えている。現在も団地を拡大し続けており、これからもどんどん人口が増えていくことが予想されている。

1948年
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1987年
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2009年
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Posted by ハルト at 23:57│Comments(0)教育地域
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